ハダカハレンチ第5回本公演
『エレキ鰻は泣いている?』
公演中止のお知らせ
平素よりハダカハレンチの活動を応援して頂きありがとうございます。
2021年2月12日から公演を予定しておりました、ハダカハレンチ第5回本公演『エレキ鰻は泣いている?』につきまして、公演中止を決断いたしました。
中止の理由としましては、日本政府から緊急事態宣言が発出されたこと、本番までの稽古実施における全関係者の安全を担保することが困難であること、公演実施に伴って様々な方に公共機関を利用する移動を促してしまうことなど、総合的な判断の上、公演を行なうことは出来ないという判断に至りました。
本来、昨年7月に公演を行なう予定だった作品を延期した上での今回の判断につきまして、この作品を、この公演を楽しみにしてくださっていた皆様には、深くお詫び申し上げます。
既にチケットをご購入頂いたお客様には払い戻しの対応をいたします。払い戻しについては個別にメールにてご連絡いたします。
時節柄、新型コロナウイルスだけでなく体調を崩しやすい時期でもありますので、感染拡大の一日も早い収束を切に願うと共に皆様のご健康と安全を心よりお祈り申し上げます。
2021年1月17日
ハダカハレンチ
※なお、チケットの払い戻しについてのメールが届かない場合は、コチラまでご連絡ください。
主宰・榊原美鳳よりコメント
すみません、『エレキ鰻は泣いている?』は公演中止になります。
去年の7月に一度『エレキ鰻』を公演延期にさせていただいていて、今回は公演中止です。去年延期をしたにも関わらず中止にしてしまい申し訳ありません。楽しみにしてくれていた方々、本当にすみません。稽古はしてきていたのですが、少し世間の様子が変わってきて、これはちょっとみんなと話し合いをしなければだ、となり、客演さんの方々、劇団員で話し合いをしまして、ちょっと稽古も本番も今までよりも不安だぞ、となり、後日劇団員だけで話し合いをしまして、そうなりました。約束をしたのにすみません。
なんで公演延期ではなく中止なのかというと、一番は、『エレキ鰻』を一度集まっていただいた人たちと同じメンバーでやることに意味を生まれているからです。一度延期にして、絶対同じメンバーで来年やるぞと決めた去年の自分たちがいて、その時から『エレキ鰻』は少しやる意味が変わってきていました。全員でなんとかやるぞと思ったところでこんな世の中です。もう一度同じメンバーにこだわるのはなかなかスケジュール的に難しい気がするし、何しろ次いつできるのかわからない。そんな中で、延期します、いつかやります、ともう一度言う気持ちがなく中止することにしました。
ごめんなさい、ちょっと自分の気持ちも含めた話をします。今回の公演は、僕がセキユくんを好きになったきっかけの作品、『エレキ鰻』ということもあり、とても大切な公演です。もちろん大切じゃない公演なんてないんですけど。なんですけど、ハダカハレンチは別に『エレキ鰻』だけをやる団体ではないですし、『エレキ鰻』をやるために作った団体ではないです。中止にするのは本当に苦しいし悲しいしもちろんやりたかったですけど、いつやれるかわからない『エレキ鰻』を延期にして、ずっと、いつかやらなきゃと考えるのは僕はあんまり良いことだと思わないです。僕たちもハダカハレンチを観たいと思ってくれている方たちもしんどくなります。もっと健康的にハダカハレンチとして楽しい約束をしていきたいです。
なので、世間がなんだか危うい中ハダカハレンチが本公演をやることはありません!
もうこんな思いしたくない!!なんなんだよもう!!!
今回はこんなお知らせをしてしまい申し訳ありませんでした。延期公演『エレキ鰻は泣いている?』は中止します。『エレキ鰻』をやる約束はもうできませんが、ハダカハレンチはまたしっかり稽古をし、どっしり本番を迎えることは約束します。それまでどうか、健康でいてください。
榊原美鳳
井田雄太よりコメント
いつもお世話になっております。ハダカハレンチ劇団員、井田雄太です。
表題の通り、ハダカハレンチ第5回本公演『エレキ鰻はないている?』、は公演を中止することと致しました。昨年の延期を経ての再始動、さらにはすでにチケットの販売を開始していたタイミングでの中止判断ということで、僕らの公演を楽しみ待っていただいていた皆様には心からお詫び申し上げます。
そして、昨年の延期から二度もハダカハレンチの公演に集まってくださったキャスト、スタッフの皆様、結局また舞台の幕を上げることができず本当に申し訳ありませんでした。
ハダカハレンチの『エレキ鰻』が始動したのは、もう覚えてないぐらいずっと前のことで、そこから少しずつ準備を重ねてきましたが、まさか二度もこんな決断を下すことになるとは、思ってもみませんでした。
僕自身、こんな世の中になる前は、公演の延期や中止を経験したことがなく、いまだにこの状況に対してなにを言葉にしたらいいのか、よくわからないままこの文章を書いています。
再度の緊急事態宣言発出に際して、たくさんの人たちから意見を聞いたり、知恵を借りたり、劇団員でも協議に協議を重ねた結果、この状況下で公演を強行する努力ではなく、劇団を存続させ、より良い状況で、万全の体制の中、いつか再び『ハダカハレンチの本公演』の幕を上げるための努力をしよう、という決断に至りました。
だからこそ、僕らはまた、本公演を打ちます。必ずまた、ハダカハレンチとして舞台の上に上がります。いつか必ずのその日まで、僕らを応援していただければ幸いです。どうか、今後ともよろしくお願いいたします。
井田雄太
岡本セキユよりコメント
世情を鑑み、公演を中止することにしました。
応援してくださった方々、楽しみにしてくださっていた皆さま、申し訳ありません。
個人的な話ですが、もう何度目かというこの手の決断に際して、今回はしかし一段と悩ましい気持ちでした。
感染症の厳しい状況に加え、座組のみんなの不安は無視できません。
一方で、製作を続けるべきとの意見もありました。公演の日程は現在発出されている緊急事態宣言の期間外であり、今の時点で中止を決めるのは早すぎる、と。
あの日、気もそぞろに稽古場に集まった誰もが明確な正解を持っておらず、誰もが「難しいよね……」と視線をまっすぐ斜め下に向けていました。
みんなに意見を聞いた帰りの電車、主宰の榊原はちゃんと重い顔をしています。
板挟みとはかくあらん。居酒屋は、まさにこんな夜のための施設だったなと、もうすでに懐かしくもある稽古後の飲み会を想います。
いつものコースは鳥貴族。なんだか手狭な経堂店。テーブル越しに飛沫といっしょに吐き散らす不安も期待も、そういえば今回はまだあんまり言えてなかったな。
それは単に飲みに行けないからではなくて、ちょうどこれから、これから稽古が本格的に進んでいって、みんなでもがく死闘の時間がいよいよはじまるって感じていた、まさにこれからだったから。
もしも上演できなければ、今度は延期ではなく「中止」です。多忙な座組の全員が、二十人の大人が欠けることなく二度もスケジュールを合わせてくれた作品を今、ここで終わらせてしまうだなんてサタンの所業。難しいよね。
こんなとき、演出の立場としてぼくは、本当ならぎりぎりまで上演に拘るべきなのかもしれません。
お客様の安全に責任を持つ「制作」や現場を仕切る「舞台監督」、なにより劇団のこれからも見据えなければならない「主宰」に対し、「演出」の第一の使命は作品を守り、作品を完成させることだと思います。
だけど、申し訳ないのですが、ぼくはどうしても公演の続行を推せませんでした。
接触の機会を減らした稽古プランの組み直しもしましたし、新しいルールも考えました。それでもけっきょく、劇団員だけのさいごの会議では続行に消極的な意見を言いました。
しっかり斜め下を向きながら、理由をいくつか述べました。
いかに対策をしても稽古場や劇場がぜったい安全ではないこと、必ずしも本意でない役者にオーダーを出しづらいこと。そしてなにより、この公演は「不要不急」だと思うこと。
一年間ずっと向き合ってきた「不要不急」なる言葉の定義は未だ判然としませんが、じぶんの視力の及ぶ限りに今の世界を見渡したとき、ぼくのやってる演劇はきっとおそらくたぶんだけども不要不急だ。
これはもう完成に個人的な感覚ですし、どの作品が必要/不要などという話でもありません。
ぼくが好きな演劇は、今まさに命を賭して闘っている圧倒的にマジな現場への影響を考えるとそれはそれはどうしても、上演を決行することがぜったいに正しいとは言えない。極端な言葉を使わせてもらうならば、人が死ぬよりは作品が死ぬ方がよっぽどましだ、と。
初舞台から変わらないぼくの志は、演劇でドキドキし続けることですが、それは今この世の中でなんとしても幕を開けなければついえてしまうものではありません。
不要不急な、自粛すべき演劇の、だけど、だからこそ尊い景色をぼくは知っています。ぼくの好きな演劇は、不要不急にして不謹慎な贅沢さで満ちていて、いつもぎらぎらしてました。
三年前、そんな自身の演劇の原風景を信じて作ったのが『エレキ鰻は泣いている?』という作品でした。
再演を実現するためにたくさんの人が奔走してくれたこと、なにより誇らしく思っています。
作品を守る。完成させる。演出の使命を脇に置いてじぶんの気持ちを通したこと。なにより恐れ多く思っています。
座組の皆さんや、チケットを買って楽しみにしてくれていたお客様。申し訳ありませんでした。
今ぼくがじぶんの舞台でドキドキできることがあるとすれば、稽古場で印刷したての台本をニヤニヤしながら読む役者の顔をみたとき、ぼくたちの公演名がメモされたお客さんのスケジュール帳を想像するときなどです。
いつも本当にありがとうございます。
これからも演劇の楽しみを信じているつもりです。どうかまた、劇場に遊びに来てください。
岡本セキユ
ぷらんたーよりコメント
この状況の中、ここまで『エレキ鰻は泣いている?』に携わってくださった全ての方に改めて感謝申し上げます。楽しみにしてくださっていた皆様、期待を裏切るような形になってしまい申し訳ありません。
僕が作るフライヤーは一度ネットにあげてしまえばずっと残るかもしれません。でも、そのフライヤーというのは作っても作っても、本番を迎えられなければ「ただの画像」です。
演劇というものはそれだけ儚いものなんだと思い知らされました。
狭いスペースにぎゅうぎゅうに客席を並べ、お客様の目と鼻の先で演劇ができる。そんな舞台が取り戻せたらまたお知らせしたいと思います。
ぷらんたー